南砺市 M・S様　木の玄関戸 洗い・塗り替え事例

　南砺市にお住まいのS様より、60年経った木の玄関戸の洗い・塗り替えをさせていただきました。掲載のご許可をいただきましたので、洗い・塗装事例として掲載させていただきます。

思い出の詰まった、木の建物にお住まいの方の参考になるかと思います。S様、ご協力いただき、どうもありがとうございました。

　先代さんが約60年前に建てられた建物で、交換・やり替えではなく、出来るだけ塗装でとういことで、ご相談をいただきました。

思い出深い建物ということを感じましたので、出来るだけ風合いを残しつつ、美しく甦らせる方向で検討しました。

　木の玄関戸は、洗いで汚れを落とした後、木の風合いを残せる保護塗料を塗装することにしました。

木の洗いとは、木の表面や内部に染みこんだ汚れや灰汁（あく）を、洗い流す昔ながらの技法です。

　木の玄関框（かまち）と、木の廊下の塗り替えのご依頼もいただきました。

玄関框と廊下は、傷やシミなどもありましたので、着色して、木の風合いを残せる保護塗料を塗装することにしました。

　昔ながらの技法 木の洗いで、表面・内部の汚れを洗い流します。この洗い方は、木をほとんど傷めません。

２つの溶液の濃度を調整しながら刷毛で刷り込み、頃合いを見て刷毛で洗い流しております。

まだまだ白くも出来るのですが、せっかくの風合いが損なわれてしまい、軽い感じになってしまいます。

木の節の部分の黒いところを残すことで、重みのある印象にできます。木の模様もきれいに見えます。

　廊下と上がり框（かまち）の部分には、木材保護塗料のオイルステンを塗装しました。

今回は、着色の目的で塗装しております。

上がり框にはさらに、透明のツヤの出る下地塗料を塗装しました。これにより、玄関が明るく感じるようになります。

　木の玄関戸が乾燥するのを待って、仕上げ保護塗料を塗装します。

木の玄関戸の仕上げ塗料は、ウレタンクリア塗料を塗装しました。

この塗料は、木目を引き立たせつつ、塗装の膜が厚く付けられ、乾燥すると表面が硬くなります。

年季の入った戸でしたので、木の傷みが結構ありました。この戸をなるべく長く持たせるために、この塗料を選びました。

　木の廊下も、ウレタンクリア塗料で仕上げ塗装しました。

廊下も玄関戸と同じ理由で、この塗料を選びました。スリッパで歩いても、木の廊下を保護してくれます。

　木の玄関戸・玄関框・廊下もきれいになりますと、玄関の腰板の汚れが目立つようになってしまいました。

せっかくだからと、腰板の張り替えのご依頼もいただきました。

新しい板を張り、塗装で仕上げます。

　新しい腰板を張り、桟木と幅木を取り付けました。

塗装の下地処理として、釘頭やビス頭や隙間に、コーキング（防水材）を入れて目立たなくしております。

　桟木と幅木は、柱と同じウレタンクリアー塗料を塗装。腰板の仕上げは、室内専用の水性エコ塗料を塗装しました。

抗菌・防カビの効果もあり、乾燥後はほとんど臭いもしない優しい塗料です。耐久性も抜群です。

ツヤ消しタイプの塗料なので、落ち着いた感じに仕上がりました。玄関框が、引き立って見えます。

【木の玄関戸】

【木の廊下】

　新しく木の玄関戸に入れ替えることはできますが、この風合いは中々出せません。また昔の玄関戸に使われていた木は、今では手に入らない木が使われている場合も多くあります。

貴重な木（銘木）は、洗いをすることにより美しく甦らせることができます。上手くいきますと、汚れだけが落ち、数十年の歴史の「味」を残すことができます。

2013年6月